11月の北海道遠征「函館編」

はいさい!

気づいたら2024年も残すところあと半月となってしまいました。
振り返ってみると今年は新設備の設営やら新事務所移転準備などてんやわんやで…
全くブログの更新もしてませんでしたね。

去年くらいから作りかえようとしていたHPも未だ道半ばのまま
どうやって編集していいのか忘れてしまっていじれなくなってる!!

完璧に準備が整うまで更新を躊躇していると
いつまでたっても情報発信ができないのでとりあえず
このまま進めていきます。

実は先月北海道に10日ほど遠征していました。
そのときのお話。

今回は函館の報告です。

グラントスカルピンさんにお世話になりました。
佐藤長明さんが撮る水中写真は実は八丈島で下積みをしているときから惚れていて
なんでこんな美しい写真が撮れるのだろうと不思議に思っていました。
当時、ガイド会ブログの写真をスクショしたりして
憧れの写真リストみたいなのを作っていたんですが、
その中に何枚も長明さんの写真が入ってました。

そんなわけでかれこれ10年近く憧れてきた、
それくらい雲の上の存在だったというか、
お目にかかるのも恐れ多いくらいなのですが、
知床に行くようになってから幸運なことにお近づきになれるチャンスがありまして、
今回満を持して行かせていただいたという感じです。

ところで、北海道に通うようになって気づけばもう3年経ちます。
どうしてこんなに北海道に魅了されてしまったのか

それはズバリ、水温の低さです。

低い水温に適応するために生物たちが選択してきた戦略が面白いのです。

低水温という状況の中においてクジメやアイナメ、その他カジメなどの北方系魚類は
長期間抱卵することが知られています。

南方では、たとえばクマノミなどスズメダイ科魚類は産卵から孵化までだいたい1週間。
一方、今回函館で撮影したアイナメは約1か月もの間抱卵します。

抱卵期間が長いということはそれだけ長くヒトデなど捕食者による危険に晒されるということです。

生命の重さは1つ1つ平等と思いたいところなのですが、
どうしても感情的には北方系魚類の卵の1つ1つの方が重みを感じてしまいます。

さてさて、そんなアイナメの卵ですが、以前からSNSなどで見ていたので
事前にある程度イメージは持ちながら撮影に望んだつもりでいました。

しかし、イメージはイメージ。
実際の魚卵は想像していたより美しく、前述した感傷的重さも相まってめちゃくちゃ感動しました。

感情だけ先行してしまって、今はもう少し落ち着いて撮影したかったと反省してます。

アイナメの繁殖期はちょうどピークだったようで、
様々なステージの抱卵を観察することができました。

孵化間際の卵に混じって受精に失敗して白濁しているものも。
なんでしょうね、今までもクマノミでさんざんこのような卵を観察してきたはずなのに
どうしても感情的になってしまいます。

そんな状態で孵化まで見られてしまったわけですから
内心パニックです。
撮るより目で見ることに集中してしまいました。

私が普段観察している魚類の繁殖活動は主に浮性卵を放出する上昇産卵がメインなので
生命の誕生を強く意識することってあまりありません。

ニュアンス伝わるかな。

受精卵の放出と、仔魚の孵化ってなんとなくプレッシャーが違うんですよね。

もちろん、6月など繁殖期のピークにはクマノミやセダカギンポなど、
タイミングが合えばハッチも観察します。

ハッチを積極的に狙わない理由は放精放卵よりも
「命の誕生」が強く意識されるので毎日見てられないというか…

今回は一か月もの期間守り抜いてきた卵のハッチですから、
めちゃくちゃ貴重な瞬間を観察できたわけです。

孵化の仕方もクマノミなどと違ってまとめてワー!って感じではありません。
なので孵化後の抜け殻も意識的に撮れます。

今回、Mareluxから出ているストロボ用スヌートとNauticamのSMC-1を使用して撮影してきました。

SMC-1は今回お世話になった函館のダイビングショップ・グラントスカルピン さんにお借りしたのですが、今さらながら解像度のエグさに驚いてすっかり気に入ってしまいました。

先ほどまで魚卵を本腰入れて撮影してこなかった理由をくだくだと言い訳してきましたが
このレンズがあるならそんなこと言ってないで撮りたいかも!と思った石野でした。

そんじゃ、またやーさい